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ルイージ・バッシ Luigi Bassi

Luigi Bassi (1833 Cremona? - 1871 Milano)
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ルイージ・バッシの肖像画とされているエッチング

ルイージ・バッシは、1846年から1853年にミラノ音楽院でベネデット・カルッリ(Benedetto Carulli 1797-1877)に師事をする。

1853-1871
エルネスト・カヴァッリーニの後、ミラノ・スカラ座管弦楽団の第1クラリネット奏者になる。
1861-1864
カノッビアーナ劇場
同じ時期にミラノ・チエーキ高校専門学校でクラリネットを教えていた。
1864
スカラ座の他の楽器の仲間たちと、ベートーヴェン(1770-1827)の七重奏曲op.20を演奏した。

ルイージ・バッシは、多くの作品を残したが、リコルディ社のJ. X. ルフェーブル(Lefevre 1763-1829)のエチュード、イタリア版第2版の監修という後世に残る大きな仕事もした。

ルイージ・バッシと同時代の多くの作曲家、アントーニオ・バウル(Antonio Baur 1830-1874)ポリービオ・フマガッリ(Polibio Fumagalli 1830-1990)フィリッポ・フォサノッティ(Filippo Fosanotti 1821-1884)などから、ルイージ・バッシの為に作品を捧げられました。


= 作品録 =

- クラリネットとピアノ
◎Il Carnevale di Venezia, Variazioni
◎Il Lamento, Notturno
・Divertimento
・Nocturne
・Notturno
・Divertimento sull’Opera “Belisario” di Donizetti / Lucca
◎Divertimento sopra motivi dell’Opera “La Favorita” di Donizetti / Lucca
・Divertimento su “La Forza del Destino” di Verdi / Ricordi, 1870
Divertimento sopra motivi dell’Opera “Il Trovatore” di Verdi / Canti
・Fantasia di concerto sopra motivi del “Rigoletto” / Ricordi, 1864
◎Fantasia sull'Opera "I Puritani" di Bellini
・Introduzione e quartetto (Bella figlia dell’amore) nell’Opera “Rigoletto” di Verdi / Ricordi, 1846
・Marco Visconti, musica di Petrella / Lucca, 1856頃
◎Melodie dei Puritani, fantasia / Ricordi, 1863
◎Reminiscenze dell’Opera “Luisa Miller” di Verdi / Ricordi, 1863
・Souvenir Donizetti, Divertimento / Giudici e Strada, 1865
Transcription de l’Opera “Don Carlos” de Verdi / Ricordi, 1870
・Un Ballo in Maschera di Verdi, trascrizione / Ricordi, 1861
◎Una mesta Rimembranza Melodia / Vismara

- 2本のクラリネット
・2 Duetti
・3 Piccole Fantasie (anche oboe e clarinetto in do) / Ricordi
・no1. Un Ballo in Maschera , ・no2. La Traviata , ◎Roberto il Diavolo
4 Duetti / Ricordi

- クラリネット、Esクラリネットとピアノ
Gran duetto concertato sopra motivi dell’opera “La Sonnambula” di Bellini / Canti

- クラリネットとオーケストラ
・Concerto *





~ ルイージ・バッシが生まれたと言われているクレモナという街 ~

ミラノから直通の各駅電車で約1時間ちょっと、車だと約100kmの道のりでクレモナに到着します。
クレモナは、ロンバルディア州のパダーノ平野をくねくねと流れるポー川沿いにあります。

クレモナと言うと弦楽器、特に現在のヴァイオリンの形が生まれた街として有名です。
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オペラの原型を作ったクラウディオ・モンテヴェルディ(Claudio Monteverdi 1567-1643)がクレモナで生まれ、クレモナ大聖堂の学長から音楽を学びました。
クレモナからポー川の下流にあるマントヴァ(リゴレットの舞台になった街)の宮殿に歌手とヴィオラ・ダ・ガンバ奏者となりました。
モンテヴェルディは宮殿内で様々な音楽への挑戦をしました。
その結果、1607年に器楽の伴奏するオペラが生まれました。

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1107年に着工し1491年に完成したクレモナ大聖堂(Cattedrale di Santa Maria Assunta)

宮殿で必要だった様々な楽器はクレモナで作られていきました。
アマティ家(Amati 1550-1740)、グアルネーリ家(Guarneri 日本だとガルネリ と呼ばれる事が多い)、 アントーニオ・ストラディヴァーリ(Antonio Stradivari 1644-1737 日本だとストラディバリウスと楽器につけられた名前で呼ばれる事が多い)など、弦楽器制作工房が増えていきました。
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元々宮廷で演奏されていた弦楽器は、リュートが主流でした。
その為、弦楽器制作者の事をイタリア語では「liutaio リュウタイオ」と「liuto リュート」を作る人と言い、現在はヴァイオリン制作者もギター製作者もリュート製作者も全て、弦楽器制作者は「liutaio リュウタイオ」と呼ばれています。

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1600年代半ばから続く地球低温期(小氷河期)が続いていたため、モーツァルト親子は1770年1月に悪路の街道を避け完全氷結したポー川を高速で移動しマントヴァ~クレモナ~ミラノと旅行をしました。
Ristorante Il Violino
Via Sicardo 3, Cremona


モーツァルトの時代、現在も弦楽器、ヴァイオリン制作で有名なクレモナも一時期衰退の時代がありました。
それを救ったのはイタリアの独裁者ベニート・ムッソリーニ(Benito Mussolini 1883 Dovia di Predappio - 1945 Giulino di Mezzegra)でした。
ムッソリーニによる保護と奨励が無ければ、現在の様なたくさんの弦楽器制作者のいるクレモナでは無かったかもしれません。










by clarinetto | 2020-04-26 12:42 | イタリア人クラリネット奏者

イタリアに留学していたクラリネット奏者+元イタリア・スローフード協会会員、奥田英之がイタリア各地の音楽院図書館から1800年代に出版され絶版になってしまった楽譜を発掘し紹介しているブログです


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